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真ん中に位置する派遣元に、双方に対する適切な対応が求められるわけです。
筆者は、キーとなる派遣元の若い営業店長に次の三点を解決の条件としてアドバイスしました。
すなわち、①派遣元は派遣先と話し合い、契約満期までの賃金保証を行うこと。
②派遣スタッフは事件の被害者となって以来、失業の状態を余儀なくされている。
派遣元責任者として、全力をあげてその後の就業先の確保を行い、スタッフの救済に努めること。
②派遣元は派遣先と話し合い、派遣先としての以下の義務を果たすように要請すること。
すなわち、・派遣先に事件の顛末・詳細を調査してもらい、それをスタッフに報告すること・派遣先は事件を踏まえ、今後の犯罪防止策をスタッフと派遣元に表明すること・派遣先は事件を踏まえ、公式にスタッフに謝罪すること・派遣先は謝罪を踏まえ、適正な慰謝料をスタッフに支払い、正式な和解を図ることというものですもちろん、派遣元責任者である営業店長は、ただちに派遣元本社にも報告を行い、決裁を仰がなければならないのは、いうまでもありません。
以上のように筋道立てて考えると、派遣システムを構成するトライアングル関係は、利害が異なるため事件発生後の対応が後手に回りがちなのです。
派遣元は、ビジネスの力関係で見ても派遣先になかなか強いことがいえません。
不満を露にするスタッフとの狭間に入って、解決がいっこうに進まない場合も多いようです。
当事者間によるスピード解決には、なかなか難しい面があるといわざるを得ません。
セクハラと解雇をめぐる事例次の例もセクハラに関する事件です。
これも九八年秋に判明しました。
派遣先の大企業の受付・案内業務をめぐるものです。
五〇歳代の女性受付スタッフが、ある派遣元からI〇年以上にわたって派遣されていましたが、ある日、派遣先の担当者がこのスタッフに次のように話しかけてきたというのです。
「あのねえ、受付というのは受付嬢というんだよ。お嬢”という意味がわかる?」-。
「受付はお嬢さんというような年齢の人が担当するもので、あなたのような年配の人が従事するものではないよ」と解釈されたわけです。
セクハラでもあり解雇問題でもあるわけです。
これにはユニオンも介入して係争にまで発展したといいます。
もう一つ問題があります。
「派遣元から派遣されてI〇年以上過ぎている」というのは、「現行法で認める派遣期間は最長一年間、契約を更新しても三年まで。
それ以上の場合には、派遣先が直接雇用しなければならない」というルールにも抵触しています。
新聞でも報じられるなど世間を騒がせたため、ハローワークの担当官も無視できなくなりました。
このように、とフブルに発展すると、それまで隠れていたものまで明るみに出て、行政による改善命令を受けかねません。
派遣先、派遣元にとって二重三重の痛手となってしまうのです。
圀明確にセクハラと判断しづらい場合の対応これも「エニイタイム」に寄せられた内容です。
相談相手は、東京都内のある派遣元から派遣先に派遣されている女性スタッフ(二九歳)です。
相談によると、派遣先社内の湯沸室で茶碗などの洗い物をしていると、きまって派遣先の中年男性の係長が入ってきて、意味もないのに並んで手を洗ったりするというのです。
その際、派遣スタッフの身体にそれとなく触れるようにするなどして、嫌でたまらないというわけです。
そこで、スタッフは派遣元の営業担当者に何度か相談したそうです。
しかし、派遣元の営業担当者はニヤニヤするだけで、「あなたの気のせいではないの。
あまり神経質にならないようにしてはどうですか」と軽くいなすだけでした。
それでも派遣先の係長がしっこいので、再度派遣元の営業担当者にその旨を訴えると、今度は「嫌なのはわからないでもないが、相手はお客様であり、少々のことは我慢してくれないか」と逆に頭を下げられたそうです。
女性であれ男性であれ、生理的に嫌なことを我慢せよ、といわれると、ますます嫌悪するようになりがちです。
派遣元の営業担当者に相談しても無理なら、というわけで「エニイタイム」に電話してきたという次第です。
たまたま筆者が電話で応対したのですが、「生理的に嫌だ」というのは理屈抜きなのです。
スタッフの訴える声を聞いていてもそれがよく伝わってきました。
不遜な表現ですが、もっと進んでボディタッチをしてくれば、疑いようもないセクハラとなりますが、密室での軽いタッチングが、はたしてセクハラに該当するかを判定するのは難しいといわなければなりません。
しかし、最近のセクハラ訴訟は、それを受け止める側の心理を優先させるケースが多いわけです。
そこで筆者は次のようにアドバイスしました。
「もし、次にも同じようなことに遭遇したら、嫌だという意思表示をしてください。
言葉でいえないなら、嫌だという表情かもしくは嫌だという意思を動作で明確に示してみてはどうですか。
たいていの人ならばそうした意思表示があれば、ハッと気づくはずです。
気づかないならば、次の段階は言葉で表現してみてはどうですか。
『いつも私か湯沸室に入ると、どうして係長さんも来られるのですか。
特別な用事もなさそうなのに。
正直いって困惑しています』などのように」。
そして、「ただし、職場の人たちがいる前でそれをいうのは避けたほうがよいでしょう。
相手にもプライドがあるからです。
下手にそれを傷つけると、ややこしいことになりかねません。
もし、それでも相手が気づかないならば、彼の上司に正直に話してはどうですか。
それでもだめなら、私から派遣元の責任者に話してみますが」と答えました。
スタッフは納得しました。
それ以来、電話はありません。
派遣先の係長は、彼女の対応で気づいたのでしょう。
もし、相談者が不在で嫌悪がピークに達したならば、トラブルに発展していたかもしれません。
前に知りながら、スタッフに嘘をついていたというならば論外ですが)。
また、派遣先も料金を支払うという優位の立場を悪用しないで、きちんと約束を守るように努めなければなりません。
そうでないと、思わぬことから自社の仕事に影響を及ぼしてしまいます。
周辺業務をめぐるトラブル前項に関連する内容です。
周辺業務をめぐる問題は最近少なくなりましたが、それでも、苦情からトラブルに発展する可能性のある事例として注意すべきでしょう。
周辺業務とは、本来の業務に付随するか、契約には記載されていなかった仕事をいいます。
たとえば、派遣法施行時によく問題視されたのは、お茶くみやコピー取り、社内清掃、電話応対、文具やタバコといった買い物、社内行事への参加などであり、契約書に記載されず、事前に聞かされてもいなかった仕事に従事する必要があるかどうか、という点です。
「それは契約外だからする必要はない」とか「契約業務を円滑にするためにも必要」、あるいは『日本の企業では、いくら専門的仕事とはいえ、会社の慣行もあるのだから、職場の協調性を保つ意味でも避けられない」などと、議論を呼んだわけです。
それがまったくの契約外業務であれば問題となりますが、り扱われるべきものだろう、というのが筆者の意見です。
いわゆる「良識の範囲」として取極端な例でいえば、コピー取り、お使い、お茶くみ、接客、電話応対などは派遣契約内容には記載されないことから、「これは明らかに契約違反だ」との声もあります。
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